風邪のときに食べたい台所薬膳
寒いときや季節の変わり目などにもかかりやすい「風邪」。中医学では邪気という、自然のなかにある悪い「気」が身体の中に入り、風邪の色々な症状を発生させると考えられています。
風邪を引いたら、多くの方は風邪薬を買って飲むのではないでしょうか。
中医学では風邪をいくつかのタイプに分けて考えます。
同じ風邪という言葉でも、
- ブルブルと寒気のする風邪
- 高熱の風邪
- 身体が重くなかなか治らない風邪
など様々なタイプがあります。
これらは同じ「風邪」ですが、原因が違います。
ここでは中医学の考えのもとに風邪を3つのタイプに分けて、タイプに合った食材をご紹介していきます。
1.寒い風邪
中医学でこの風邪は、風と寒さに関する邪気が身体の表面にある状態と考えます。
悪寒の他に、さらさらした鼻水がでたり、頭痛や身体の節々に痛み(関節痛)があったりします。熱は高くありません。
(対処)身体を温めることと、身体の表面の邪気を追い払うことが必要です。
引き始めは寒い風邪でも、3日目くらいから高熱の風邪にかわることもあるので、引き始めの段階で対処して治していきましょう。
身体を温める食材をとり、辛味のある食材で邪気を追い払うのです。身体を冷やす食材は控えるようにしましょう。
(おすすめ食材)
玉ねぎ、ねぎ、にら、きんかん、鶏むね肉、しょうが、唐辛子、八角
(調理のポイント)
おすすめ食材を使って、胃腸に負担のかからないように消化によいものを作りましょう。 生野菜ではなく、蒸したり、ゆでるなどの調理法がおすすめです。
(レシピ)蒸し鶏のごまだれ
材料:
- 鶏むね肉 1枚
- キャベツ(細切り) 2枚
- みょうが(千切り) 1個
- A清酒 大さじ2
- Aしょうが(すりおろし) 1/2かけ
- A長ネギまたは玉ねぎ 少々
- B白練りごま 大さじ2
- Bしょうが(すりおろし)
- B長ネギの白い部分または玉ねぎ 30g
- Bコチュジャン 小さじ1/2~
- Bみそ 小さじ1
- Bしょうゆ 小さじ2~
- B米酢またはりんご酢 小さじ2
- B甘酒 大さじ1~
- Bごま油 小さじ1
作り方
- 鶏肉はフォークなどで数か所穴をあけて塩少々(分量外)をまぶし、鍋にAと入れて蓋をして弱火で20分ほど加熱する(途中、水気が無くなれば、水大さじ2ずつ足していく)。蓋をしたまま粗熱を取る。
- キャベツは熱湯でさっとゆでるか、電子レンジで加熱する。水気を切ってみょうがと塩ひとつまみと合わせて器に盛る。
- (たれ)Bの材料を混ぜる。
- 1の鶏肉を薄いそぎ切りにして2の上にのせ、3のたれをかけて完成。
2.高熱の風邪
中医学でこの風邪は、風と熱にかん関するする邪気が身体の表面にこもった状態と考えます。
高熱がでるほかに、のどに強い痛みがあるのが特徴です。
鼻水がでる場合は粘り気のある見た目の汚いもので、痰がでることもあります。
現代の日本で一番多いのがこのタイプだそうです。
引き始めの風邪で放置して無理をすることで、高熱の風邪になりやすいです。
(対処)寒い風邪とは反対に、熱を冷ますことが大事です。
身体を冷ます作用の食材と、邪気を追い払う食材を食べましょう。
身体を温める作用のある食材はとらないようにしましょう。
※ただし足もとは冷やさないように!
(おすすめ食材)
アスパラガス、ごぼう、大根、冬瓜、キウイフルーツ、梨、貝柱、くず、緑茶
(調理のポイント)
高熱で食欲がほとんどないことでしょう。ベッド上でも食べやすいものがよいでしょう。
食後すぐに横になれるように消化に負担のかからない工夫をしましょう。
(レシピ)冬瓜と豆腐のくずあんかけ
材料:
- 貝柱(水煮) 4個
- 冬瓜 60g
- 木綿豆腐(軽く水切りしたもの) 1/3丁(約100g)
- 清酒 小さじ2
- 淡口しょうゆ 小さじ1
- 本葛粉 大さじ2(大さじ1の水で溶いておく)
作り方
- 冬瓜は皮をむいて3㎝角に切り、熱湯で柔らかくなるまでゆで、ざるに上げて水気を切る。豆腐は1.5㎝角に切る。
- 鍋に貝柱、水煮の汁と水合わせて200mlを入れて火に中火にかけ沸騰したら、1の冬瓜と豆腐を加え酒と醤油で味を調えて、水で溶いた葛粉を入れてとろみをつける。
3.夏風邪
中医学でこの風邪は、夏の暑さと湿気に関する邪気のしわざと考えられています。
症状としては身体が重い、頭がずーんと重い、吐き気がある、胸がむかむかする、食欲が無い
など10日~2週間ほどと長引くことが多く、一番治りにくい風邪です。
(対処)いらない水分を排出して、きれいな水分を補うことが大事。
邪気を追い払うことも必要です。きゅうりやゴーヤなどの野菜には余分な水分を排出する働きがあるので、取り入れたいですね。
(おすすめ食材)
はと麦、きゅうり、ゴーヤ、冬瓜、もやし、すいか、インゲン豆、そら豆、春雨、しょうが、昆布
(調理のポイント)
食欲が無い場合、口当たりがよくさっぱりとしたものがよいでしょう。
また、きれいな水分を身体でつくる野菜や豆腐などを使うのもよいでしょう。
きゅうりなどのパリパリ・シャキシャキとした歯切れのよい食感をイメージした料理にしましょう。
(レシピ)
材料:
- もやし 80g
- 春雨(乾燥) 30g
- きゅうり 1/2本
- A米酢 大さじ1
- A甘酒 小さじ1~
- Aしょうゆ 小さじ1
- Aごま油 小さじ1
- Aこしょう 少々
作り方
- もやしと春雨はそれぞれ熱湯でさっとゆで、水で軽く洗って水気をしっかりと切る。春雨は食べやすい長さに切っておく。
- きゅうりは千切りにしておく。
- ボウルにAを合わせ1と2を加えて和える。味見をして必要なら塩を加え味を調える。